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デザインに役立つ!名刺デザインの基本。魅力ある名刺に仕上げるポイントを解説

こんにちは。LANCER UNIT(ランサーユニット)note編集部です。
ランサーユニットの公式noteが発信するクリエイター向けお役立ち記事。今回は名刺デザインの基本とポイントをご紹介します。


数ある印刷物のなかでも、小さな面積をデザインしなければいけない「名刺」。限られた範囲のなかで、知ってほしい情報を効果的に見せるにはそれなりの知識が必要です。
そんな「名刺」に対するデザインの基礎知識、入稿データ作成の基本、よくあるチェックポイント、名刺に最適な特殊加工をリストアップしました。

名刺デザインの基礎知識

名刺は、その人の「顔」となるツールです。手のひらに収まるほど小さな名刺がその役割をまっとうさせるには、基礎的な知識を押さえる必要があります。まずは名刺作りの基本からご紹介します。

掲載情報

掲載情報

名刺に掲載される情報はさまざまです。
名前、ふりがな、ロゴ、会社名、部署名、肩書、住所、電話番号、メールアドレス、サイトのURLやQRコード。顔写真を載せた名刺もありますね。
ですが、小さなスペースですから情報量は限られます。その人にとって本当に必要な情報かどうかをしっかりと吟味しましょう。

フォント

フォント

名刺は自己紹介としての役割があるため、文字情報がほとんど。フォント選びは重要な要素のひとつです。
和文フォントは大きく明朝体とゴシック体に分かれ、どちらを選ぶかでまったく違う印象になります。ほぼ文字で構成される名刺だからこそ、イメージに適したフォントを慎重に選びたいですね。

サイズ

サイズ

名刺は「名刺4号」と呼ばれる91mm×55mmのサイズが一般的ですが、実はさまざまなサイズが存在します。
オリジナリティを出すためにそれ以外のサイズで作るのも一計。ですが、通常ビジネスシーンでは受け取った側の名刺入れに入らないことも起こりえます。使われる業界や職種など、TPOに応じた選択を。

レイアウト

レイアウト

名刺デザインにおけるレイアウトの特徴はなんでしょうか?
余白量や文字のジャンプ率も考えられますが、紙の向きを柔軟に選択できること。これが最も大きな特徴と言えます。
縦書き横書きの文字組み、文字揃えなどによっても与える印象がガラリと変わるので、その名刺の役割をしっかりと把握して作成することが重要です。

名刺の入稿データの基本的な注意点

掲載する情報やレイアウトを決めたら、さっそくデザイン開始!
でもちょっと待ってください。名刺は印刷物です。きちんと印刷に適した形式で作成していますか?
Webデザインがメインのデザイナーがつい忘れがちな、入稿データの注意点をまとめました。

印刷用カラーモード「CMYK」

CMYKで作る

名刺は印刷して仕上げるので、カラーモードは「CMYK」に。
Webデザインで使用する「RGB」は、PCやスマートフォンなどディスプレイの光で色を表現するカラーモードです。それに対して「CMYK」はインクで色を表現する仕組み。色を混ぜるほど「RGB」は明るく白に近づき、「CMYK」は暗く黒に近づく性質を持っています。

光による「RGB」の方が色の領域が広いため、「CMYK」では再現できない色があります。RGBモードのデータをそのまま印刷するとインクで再現できない色が変わってしまうため、色がくすんだり思い通りの色にならなかったりすることがあります。必ずCMYKモードで作成しましょう。

塗り足し・文字切れ

塗り足し・文字切れ

印刷物をデザインするときは「トンボ」をつける特有のルールがあります。
「内トンボ」と「外トンボ」と呼ばれる2本の線で囲まれた範囲のなかでデータを作成していきます。外トンボは「塗り足し」をする線、内トンボは仕上がり線(断裁される線)で、その幅は3mmが基本です。
印刷時に紙がズレる。裁断の位置がズレる。印刷には物理的なズレがどうしても発生してしまうので、これを考慮したデータ作成のルールが用意されているんです。

塗り足し
背景色やオブジェクトなどを裁ち落としするデザインの場合、断裁位置がズレて白い部分が出てしまわないよう、断裁位置の外側(外トンボ)までデータを作ります。この「塗り足し」をつけないと、紙のフチまでしっかりインクが乗らないことがあるので注意しましょう。

文字切れ
今度は逆に、きちんと入れたい文字が切れてしまうのを防ぐためのルール。仕上がり線ギリギリではなく、少し内側に文字を配置します。
文字だけでなく写真やイラストなど、切れると困るものはすべて同じように配置しましょう。
名刺の場合は内トンボから3mm程度が一般的ですが、印刷業者によって決められているので事前に確認してくださいね。

文字の大きさ・線の太さ

印刷可能な「文字の大きさ」「線の太さ」

小さな面積にたくさんの情報を載せるとき、文字がどんどん小さくなってしまいませんか?
基本的に、文字は6pt以上線は0.3pt以上にしましょう。
画面上でデザインしていると拡大表示などでサイズの感覚がなくなって、実際の大きさを意識しないまま制作してしまうことがあります。ある程度の大きさを保たないと、文字が小さくて読みにくくなったり、印刷で潰れてしまったりします。

基本の大きさにしても印刷する紙の種類によって滲んでしまうことがあるので、特殊な紙を使うときは印刷会社にしっかり確認を。場合によっては試し刷りをお願いすることも考えましょう。

画像の「解像度」

画像解像度

「解像度」とは、画像の精細さを示す数値です。
Webではディスプレイ表示のため72dpiの解像度がよく用いられますが、印刷では350〜400dpiが適性とされます。
画面できれいに見えていても、印刷するには解像度が不十分かもしれませんので確認が必要です。特にWebで使用していた画像を使う場合、そのままでは仕上がりが粗くなってしまいます。

ユーザーが少し離れた場所から見るポスターなどは200dpi程度でも問題ありませんが、手に持って近くで見る名刺などは適性な画像解像度で作成しましょう。

名刺デザインのチェックポイント

基本を押さえたら、実際に名刺をデザインしましょう!
小さな紙面のデザインであること、さらに名刺の役割を踏まえ、制作するときのチェックポイントをまとめました。

書体のサイズを調整

書体のサイズ調整

小さな紙面に文字がひしめく名刺は、より見やすくするために日本語部分と英数字で違うフォントを選択することもしばしば。
そこで注意したいのは「書体のサイズ」です。和文フォントと欧文フォントは、数字上同じサイズでも見た目の大きさが違うことがあります。

小さな名刺はひと目で認識できる情報量が少ないので、チラシやパンフレットなどでは気にならない細かな違和感が顕著に現れます。部分的に欧文フォントを使用した場合は、必ず自分の目でチェックしてサイズ調整を。

ふりがな

ふりがなをふる

初対面の人と交換する名刺は、その人の「顔」と言えます。
「これは何と読むのですか?」と、受け取った相手が困らないよう配慮して作成しましょう。
特に注意したいのは、名前。ビジネスシーンでは、挨拶を交わした後で間違えると失礼になりますよね。ふりがなは、受け取る側にとってありがたいポイント。日本人の名前には、簡単な漢字でも読み方が複数あることも。日本語を使うデザインならではの細かな配慮を心がけたいものです。

QRコード

QRコードのサイズ
※QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です。

たくさんの情報を伝えられるQRコードは、小さな名刺に便利な一手です。
スマートフォンで読み込んでもらえば大きな可能性も広がりますが、スムーズに読み取れないとストレスにもなり得ます。
推奨サイズは20×20mm以上。さらに周囲の余白も必要です。
デザインに取り入れるのであれば、実寸サイズにしたときにきちんと読み取れるかを自分のスマートフォンでチェックしましょう。

名刺管理ツールへの配慮

名刺読み取り機能への配慮

名刺をカメラで撮影してデータ化できる名刺管理ツール。日常的に大量の名刺交換をするビジネスでは、急速に普及しています。
このツールで使われる読み取り機能のほとんどは、よくある名刺のパターンをAIが学習して自動でデータ化されます。このため、奇抜なデザインの名刺がうまく読み取れない場合も。名刺管理ツールの使用が想定される業界・職種の場合、デザインにも注意したいですね。

名刺に使える特殊加工

ここまでは名刺デザインの基本やポイント、注意点について説明してきましたが、デザイン性を加える特殊な加工を最後にご紹介します。
「人と違う名刺を」という依頼に対して、他と差をつけるのが難しい名刺。そんなときに使える代表的な特殊加工を4つピックアップしてみました。

角丸

角丸加工

名刺の角を丸く切り落とす加工です。
柔らかくやさしいデザインとなり、切り落とす丸の大きさでも印象が大きく変わります。大きな円で切り落とすと、楕円形の名刺にすることも可能に。

箔押し

箔押し加工

箔押し加工は、高級感を出したいときにおすすめ。熱と圧力によって、紙に箔を入れる印刷加工です。
文字でも柄でも可能で、箔の色やツヤの有無なども選べます。箔の種類や対応できる紙が印刷業者によって異なるため、サンプルを取り寄せてみましょう。

小口染め

小口染め加工

小口染めは断面の染色技法で、名刺のフチに色をつける加工です。
断面が大きくなる厚めの紙と好相性。名刺を重ねるとインパクトがあり、1枚だとさりげない差し色のように見えます。デザインにちょっとしたニュアンスを加えたいときにおすすめです。

活版印刷

活版印刷

最後に、活版組版を使った印刷方法をご紹介します。
一つひとつの文字をスタンプのように押して印刷するので、紙面に微妙な凹凸ができます。紙の厚さや硬さ、印刷の圧によって凹み具合が変わります。比較的厚めの紙に向いた技法で、シンプルながら味わい深い質感に。

さて、代表的な特殊加工を4つ紹介しましたが、ニス引き、PP加工、蛍光インキ、エンボス加工など、他にもさまざまな特殊加工があります。
通常の印刷よりも少し費用が高くなってしまいますが、表現の幅がぐっと広がりますね。目的に合わせたデザインを提案できるようもっともっと知識を身につけて、名刺デザインのプロを目指しましょう!

まとめ

今回は、名刺デザインについてご紹介しました。
Webデザインがメインのデザイナーでも、小さいものだからと簡単に依頼されることもよくある名刺。実際に印刷できるデザインを作成するにはさまざまな知識が必要です。今回の記事を名刺のデザインに活用していただけるとうれしいです。


最後にひとこと。ランサーユニットでは、豊富なデザイン案件をご用意しています。また、登録クリエイターが交流できる「LANCER UNIT COMMUNITY(ランサーユニット・コミュニティ)」もデザイナー初心者さんにおすすめ。デザインの相談にのってもらえるベテランデザイナーも多く登録していますよ。ぜひご登録くださいね。

LANCER UNIT(ランサーユニット)は、デジタルハリウッド株式会社が運営している、プロのクリエイターを複数人選し継続的にクリエイティブ制作を発注できるサービスです。noteを通じて、LANCER UNITのサービスを導入している企業さまやクリエイターの皆さんへのインタビュー、クリエイターに役立つ記事をお届けしています。

文:LANCER UNIT note編集部 K

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